《ドクターからの豆知識》歯根端切除術と意図的再植術について
2024.09.30更新
今回は歯根端切除術と意図的再植術についてです。
どちらも通常の根の治療(根管治療)では治らない歯に適応されます。
歯根端切除術とは、歯茎を切開・剥離し、根の先端を切除し、
その周囲の病気を取り除き、
根の先からお薬を詰めて歯茎を閉じるという手術です。
意図的再植術とは、一度歯を抜き、
お口の外で根の先端を切除し、根の先からお薬を詰めて
もう一度歯を戻すという手術です。
どちらも適応としては
①根の先で細い神経の管が枝分かれしており、
その管に感染が及んでいる時
②以前治療した先生が、
本来の根の管とは違う方向にお薬を詰めている時
③根の先の病気が大きくなり、独立した病気
(=嚢胞 のうほう)になっている時などが挙げられます。
根の中には神経や血管が詰まった管があります。
この管は太い1本の管だけではなく、
途中で約75%の割合で枝分かれしています。
その管に感染が及ぶと通常の根の治療ではばい菌は取り除けられません。
また、約95%の割合で根の先で曲がっていると
言われており、通常の根の治療では曲がっている先の
ばい菌を取り除けないこともあります。
他院で、膿の袋が大きいから抜きましょうとか、
根の病気が原因で骨が大きくとけているから
抜きましょうと言われても、この歯根端切除術や意図的再植術で
助かるケースは少なくありません。
ただし、手術可能な場所は限られています。
まず、歯根端切除術ですが
一番奥の歯と奥から2番目の歯の一部の根は適応外になります。
何故なら、奥過ぎるとお口に物理的に器具が入らないからです。
なので、お口が大きく開く方とあまりお口が
開かない方では手術可能な範囲は変わってきます。
また、上の歯であれば上顎洞という副鼻腔に近い場合、
下の歯であればオトガイ孔や下歯槽管という神経に近い場合も適応外になります。
次に、意図的再植術ですが
根が分かれていたり、曲がっている場合は適応外になりますので
一番前の歯か下の一番奥の歯に限られますし、
かなり手術可能な症例は限られてきます。
と言っても、もちろん自分で判断することは出来ないので、
根の先の病気が治らないので抜歯と言われた方は一度、
当院にいらっしゃってください。
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