ドクターからの豆知識

歯周病で新型コロナへの感染が増します!!

2020.09.23更新

皆さん、身体の中で一番細菌の数が多い場所はどこだと思いますか?
まず、私たちは、食事を取ると食物を口で噛んで、飲み込みます。
その後、食道⇒胃⇒十二指腸⇒小腸⇒大腸⇒直腸と流れて、肛門から排泄されます。実は、お口の中と肛門が同じレベルで、一番細菌の数が多いのです。
つまり、入口と出口ということになります。

その数は、お口の場合、歯垢1gの中に何と1,000億もの細菌が棲息しております。そして、その中には虫歯菌や歯周菌も数多く含まれています。毎日、しっかりと歯磨きをしないと、虫歯や歯周病になるのは当然ですね。

そして、今回は歯周病のお話しです。
統計によりますと現在では35歳以上の方の80%が歯周病であり、その中の45%
の方が治療の必要があり、10%が深刻な状態であることが分かっています。
もちろん、歯周病を引き起こすのは歯周菌ですが、今まで数多くの歯周病関連菌が判明しています。
その中でも極悪な菌の代表が、Pg菌と呼ばれる菌で、18歳頃から感染すると言われています。もちろん、元々お口の中にいた菌ではなく、何らかの形で外部から入り込んできたのです。そしていったんお口の中に入ったPg菌はどんなことをしても絶対に排除できないのです。
では、Pg菌はどのようにして歯周病をつくるのでしょうか?
歯を磨かなかったら、歯と歯茎の間(歯周ポケットと言います)に歯垢が溜まります。この歯垢の中に多く生存するPg菌が色々な代謝物質を出して歯茎に炎症を起こします。そしてPg菌は血液の中の赤血球に含まれるヘミン鉄を栄養源として増殖していきます。つまり、Pg菌の大好物は血なんです。
ですので、歯茎から出血をすれば要注意と言われているのはそういった理由があるのです。そして、歯周ポケットで増殖したPg菌は、血管の壁を破って血管内に侵入してきます。そしてPg菌は血流にのって全身に回り、多くの病気を引き起こすことが分かっています。

さて、ここで歯周病と新型コロナの関連を見ていきましょう。
歯周菌も新型コロナウィルスも唾液中に多く存在しています。そしてお口の中の粘膜は、正常な状態であれば細菌もウィルスも侵入することができません。
しかし、歯周病にかかっている方は、Pg菌によって粘膜の血管が破られることにより、新型コロナウィルスは簡単に粘膜の中に入ってくることができます。

歯周病

そして粘膜に入った新型コロナウィルスは、私たちの身体を守る多くの免疫細胞との間で戦いが繰り広げられることになりますが、その際に免疫細胞はサイトカインという物質を多く産生します。ウィルスとの闘いが激しいほど、または長引くほど、このサイトカインは産生され続けられるのですが、これが逆に我々の身体を攻撃することになるのです。まさしく諸刃の剣なのです。
そしてこのように免疫力が働き過ぎることで、免疫暴走が起こり、身体が制御不能な状態になる、いわゆるサイトカインストームと呼ばれる状態になります。この状態になると自分の正常な細胞を傷つけることになり、新型コロナの重症化に繋がると考えられています。

皆さん、お口の中に歯周菌が多く存在すれば、このように新型コロナウィルスが入ってきた場合に感染する確率が増えることがお分かりいただけたと思います。そして、ウィルスの量が増えれば増えるほど免疫が活躍してくれますが、その裏にはサイトカインストームという罠があり、重症化することが分かっています。

今すぐ、歯科クリニックを訪れて、新型コロナウィルスの感染予防をしましょうね。当クリニックでは、Pg菌の数とその遺伝子型を調べることで、現状の歯周病に対するリスク評価を行っております。
ご興味のある方は、どうかお気軽にお問合せ下さい。

投稿者: 医療法人宝樹会 福西歯科クリニック

根面被覆術とは?

2020.09.04更新

8020(ハチマルニイマル)運動という言葉を聞いたことはありますか?
これは日本歯科医師会が推進している運動のことで、80歳で20本以上自分の歯を保とうという運動です。これは「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めてこの運動が始まりました。
そうした取り組みのもと、歯科医療の進歩と患者様の口腔衛生に対する意識の向上によって、近年歯の寿命は伸びています。
ただし、歯が長い期間残るからこそ出てくる問題もあります。
「最近ハグキが下がった」「歯が長くなったような気がする」
そんなことを感じることはありませんか?
加齢に伴い、ハグキが下がることで露出する歯の部分はムシ歯になりやすく、また知覚過敏などにも注意が必要です。
そういった事でお困りなのであれば、適応症例に限度はありますが、ご自身の上あごからハグキを移植することで、露出した歯の部分を被覆出来る事があります。歯肉退縮の分類としては【ミラーの分類】が用いられることが多いです。

根面被覆術とは?

上図の【ミラーの分類】クラス1・クラス2では根面を歯肉で被覆出来る可能性が高いです。【ミラーの分類】クラス3では根面を歯肉で被覆できる可能性は低く、クラス4においてはほとんど期待できません。
つまり、適応症例をきちんと見極めて行うことが大事です。
手術の術式やご自身のハグキが適応になるかなど、ご興味・ご関心がございましたら一度お気軽に担当医までお尋ねください。

投稿者: 医療法人宝樹会 福西歯科クリニック

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