神経を取った後の歯の変色について
2019.12.13更新
皆さんの中には、昔に神経を取った歯が変色してきたという経験がある方も少なからずおられることと思います。見た目が嫌だということで歯医者に行くといきなり「これは削って被せなければなりません。セラミックだと綺麗になりますよ」と言われて、高額な治療費がかかってしまったということはないでしょうか?
神経を取った歯の変色にはいくつかの原因があります。もちろんコーヒーやお茶などをよく飲まれる方には変色が見られますが、これは着色なので、専用の器具で研磨をすれば綺麗になります。
でも、神経を取った歯の内部から変色をしている場合があり、これは神経を取った際に出血があり、その中のヘモグロビンから鉄イオンが遊離することで生じると考えられています。
ある統計では、神経を取った歯の10%に変色があることが報告されています。
その場合は、歯の内部に専用の薬剤(過ほう酸ナトリウム)を入れて、内部から漂白する方法が有効です。これを“ウォーキングブリーチ”と呼んでおり、多くのケースで被せなくても歯の白さが回復できるのです。ただし、差し歯のように根の中に金属の土台があり、その金属イオンが溶け出して歯が変色している場合では、漂白効果は期待できません。
漂白の術式は以下のように行います。
1. 根管内の治療が不完全であれば薬剤が根の先から外に漏れてしまうといけませんので、まずは、根の治療をしっかりと行います。
2. 次に根管内の上部に漂白剤を填入します
3. 漂白剤が外部に漏れないようにしっかりと蓋をします。
4. その後、通常1週間くらいから効果が出始めます(痛みが出ることはありません)。
5. もし、数週間経っても効果が出ない場合は、再度漂白剤を入れ替えします。
6. 約1か月経った時点で漂白の効果はそこまでと判断します。変色が著しいケースでは、期待する白さまで戻らないことはありますが、その場合は、外部からの漂白を併用するか、最終的に被せることもありますので、相談させてもらいます。
7. 漂白が終了すれば、若干の色の後戻りがありますので、約1か月観察します。
8. 1か月経った時点で、その時点での色に合ったプラスティックにより修復処置を行います。
もちろんウォーキングブリーチ法による漂白は、すべてのケースに応用できるものではありません。適用外の場合もありますので、十分な診査のうえ、歯科医師の診断を受けて下さい。費用は、1歯につき22,000円で、漂白剤の交換は1回2,200円になります。
歯の白さの期待度は、各患者さんによっても違う(主観的)ため、術前によく歯科医師と相談していただくことをお薦めします。
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